私の頬には、思春期の頃からずっと居座り続けている厄介な同居人がいました。それは、ニキビが治った後に残る、茶色いシミのような色素沈着です。コンシーラーで隠そうとしても、夕方になると浮き出てきてしまい、鏡を見るたびに憂鬱な気持ちになっていました。美白効果を謳う化粧品は数え切れないほど試しましたが、気休めにしかならず、まるで私の努力をあざ笑うかのように、そのシミは色褪せることはありませんでした。半ば諦めかけていた私に転機が訪れたのは、友人の一言がきっかけでした。「美容医療のピコトーニングって知ってる?シミにすごく良いらしいよ」。藁にもすがる思いで、私は近所の美容クリニックのカウンセリングを予約しました。医師の診断は、やはり炎症後色素沈着。ニキビの炎症が原因でメラニンが過剰に作られ、肌に沈着してしまった状態だとのことでした。そして、私の肌質やシミの状態を見て、ピコトーニングが最適な治療法だと提案してくれたのです。ピコ秒という非常に短い時間でレーザーを照射することで、肌へのダメージを抑えながらメラニンだけを細かく砕くことができる、という説明に、長年の悩みが解決するかもしれないという希望の光が見えました。施術は、パチパチと輪ゴムで弾かれるような軽い刺激がある程度で、痛みはほとんど感じませんでした。施術直後は少し赤みが出ましたが、数時間で引き、翌日には普段通りのメイクができました。ダウンタイムがほとんどないことも、仕事を休めない私にとっては非常にありがたい点でした。一度の施術で劇的な変化はありませんでしたが、医師からは「回数を重ねることで少しずつ薄くなっていきますよ」と聞いていたので、焦らずに治療を続けることにしました。私が効果をはっきりと実感し始めたのは、3回目の施術を終えた頃でした。いつものようにメイクをしていると、コンシーラーで隠す部分が明らかに小さくなっていることに気づいたのです。そして、5回目の施術が終わる頃には、ファンデーションを薄く塗るだけで、ほとんど気にならないレベルまで色素沈着が改善していました。あれほど頑固だったシミが、自分の肌から薄れていく様子は、感動的ですらありました。私は計10回のコースを終えましたが、今では鏡を見ても、かつての悩みが嘘のようです。